たらい回しの死亡率への寄与

救急患者の転送が患者の死亡率を高めるという下記の結論には、死亡率を高めるそれ以外の要因も考える必要がある。難しい(と思われる)患者を、最初の病院で拒絶している可能性もあるからだ。つまり(救命の可能性のある)容易な患者の選択的受け入れの可能性があるので、死亡率はすべての患者の転送(という仮想の)という比較群よりも高くなっている可能性がある。死亡率が高くなるから問題ではなく、医療サービスの応召の義務を放棄する病院側にある。救急指定病院の指定停止を含む厳しい処置が必要。
【以下資料】「重症者の転送は、患者の死亡率を上昇させる恐れがある。京都府立医科大の沢田尚久講師(循環器内科)らは00〜03年に府内13病院に運ばれた心筋梗塞(こうそく)患者1458人を分析した。最初の病院で治療を受けた患者の院内死亡率は11.7%だったが、転送された患者は同15%と高くなっていた。/北米では、病院のER(救急室)で全患者を受け入れ、重症度に応じて治療する体制をとる。駿河台日本大学病院の長尾建・救命救急センター長は「緊急性の高い患者が転送されると、治療開始が遅れ、死亡率が上昇する恐れがある。どんな救急患者にも対応できる医療機関に患者をまず運ぶ体制を作るべきだ」と指摘している。/▽救急病院 日本の救急医療では、入院を必要としない軽症者に外来で対応する医療機関を「初期」、入院が必要な患者を収容する病院を「2次」、生命の危機が切迫し、それらでは対応できない重篤な患者を治療する救命救急センターを「3次」と区分している。救急隊が患者の重症度を判断し、適切な病院へ搬送する。/◇転送で時間空費、手遅れ/患者のたらい回しが多発したことを受け、77年から整備が進められた。旧厚生省の検討会は97年に「量的な整備はほぼ達成されつつある」との報告書を出した。/04年6月、愛知県内に住む1歳の男児が交通事故で亡くなった。大声で泣き叫んでいた男児は、救急隊員に「重症ではない」と判断され、2次救急病院へ運ばれた。しかし症状は急激に悪化し、3次病院の救命救急センターに転送された時には手の施しようがない状態だった。/センターの医師は「最初からこちらに来れば助かった可能性もある。こうしたことは、どこでも起きている」と話す。重症患者転送が相次ぐ救急医療体制を、改善する道はないのか。【鯨岡秀紀】」(出典:http://news.livedoor.com/webapp/journal/cid__1785786/detail?rd