自然界の水銀?

以下の共同通信の配信。記者は情報提供者の情報を〈正確〉に伝えているが、それが何を意味するのかを〈正確に〉伝えていない。まず記事における〈自然界の水銀〉を中心に読み給え。「先月末、千葉県一宮町九十九里浜に打ち上げられたイルカの一種、カズハゴンドウの筋肉から国の暫定規制値の10倍を超える水銀が検出されたことが、北海道医療大の遠藤哲也講師の調査で7日、分かった。/寿命が長いイルカやクジラには、食物連鎖を通じて自然界の水銀が蓄積しやすいことが分かっている。コビレゴンドウなど国内の一部地域で食べられているイルカには高い水銀値のものがあることが知られているが、データがなかったカズハゴンドウも同様に水銀が蓄積していたことになる。/遠藤講師らは死んだカズハゴンドウ10数頭の筋肉、肝臓、腎臓の総水銀量を調査。筋肉から、国の暫定規制値の1キロあたり0.4ミリグラムを大幅に上回る平均4.5ミリグラムの水銀を検出した。最高値は11.0ミリグラムだった。/また、肝臓からは、平均約119ミリグラムと極めて高い濃度の水銀が検出され、腎臓からも同6.3ミリグラムが検出された」(出典:http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060307-00000016-kyodo-soci)。結局のところ、こういうことだ。水銀は神様が創ったものではなくあくまでも「自然界」に存在するものだ。しかし、それがなぜイルカやクジラに高度に蓄積されるようになったのかということだ。いうまでもなく全地球規模における水銀による海洋汚染ということだ。要するに、汚染源としての〈チッソ〉ーー実在の企業名だが、ここでは水銀を排出した工業システムという一般名詞として理解してほしいーーとその汚染の結果引き起こされる〈水俣病〉ーー実際におこった汚染による人間を中心とした哺乳類に対する傷害名の名前だが、ここでは慢性有機水銀中毒と理解してほしいーーが、グローバライズ(地球規模化)したということだ。このことを言及しない限り、この記事の読み手はこのデータが現代生活に含意するものを読み取ることが難しいだろう。共同通信の記者には、なぜこのような記事を配信するのかという報道の原点に戻って考え、もっともまともな記事を配信したまえ!