未熟者の天下(野村一夫)への印象批評

mitzubishi2005-12-09

垂水源之介です。
ご著書落掌しました。
ぱらぱらと見ましたが、要するに日経新聞の『私の履歴書』ですね。
(ぢつわ、私この部分が比較的好きで[というか年寄りはここから読み始めるという説もあり]財界人や有名人の細やかな個人史が語られるのは自分のノスタルジー気分を[も]かき立てられて「癒される」というわけです)。
言い換えればマッチポンプの本で、このマッチ(=本物の大人とは何かを知りたい欲望の火の源)と、貴兄の精神的履歴を読むというポンプで鎮火され本書のファンになる人か、あるいは油が注がれ欲求不満になる人か、くっきり分かれるのではないでしょうか?(つまり毀誉褒貶が半々になるであろうということですね)
ジンメル的な哲学的省察を求めるとセネカ流の処世訓的臭さに閉口し、社会分析として読むと共時的かつ局所的な分析に終始し、歴史的な動態やグローバルな状況と個人の関係についての考察不十分という感じでしょうか?
ま、しかし新書を読む人にこんなパラノイアはいませんので、いいのではないでしょうか?
私としては「あのシケタン」の青春出版社から本を出されたことそのものが羨望の的です。
落掌のご挨拶として
 利他的なクレーマーより……