医療通訳と日常の実践倫理

 ◎◎◎仔(=垂水源之介)です。
 あなたがシンポで発言され、また私が最後に発言した趣旨にもあったように、昨日のシンポでは2つの問題系がごっちゃになっています。
(1)医療通訳という業務が、コミュニケーションに関わるようになると、当事者性の代弁(アドボケート)の問題が生じる。これは、人間としての実践の倫理に関わる問題に関わることです。(正しいことをおこなう。よいものをよいと言う。人種主義を憎む・・・などなど)。これが、医療通訳の現場の実際のジレンマです。
(2)他方、医療通訳が徹底的に専門職化すると、こちらに関わる倫理問題の整備は、結局のところ「倫理綱領」の整備、つまりプロフェショナル倫理をつくって、医療からも当事者(患者)からも距離を置く中立な専門職の倫理を確立することに繋がります。ZさんやSさんがめざす道ですね。そうでないと報酬がもらえないし、報酬をもらうシステムだと通訳はプロでなければならない。
(3)そしてジレンマとは、上の(1)と(2)が「当面の間は」両立できない。なぜなら、両方とも未熟だから。というわけで奇しくもZさんが冒頭で述べられたように、(1)の精神を以て、当面の間は(2)でいくしかない。つまり松村路線の(1)は当面おいてきぼりになる。これがあのシンポの結論です。
 あたかもマルチ商法の説明会の名司会者ではないかと私が感じた、Mさんが、私の質問にまともに答えられなかったのは、ようするに(1)の問題解決をシステムの面のからしか考えられなかったということです。
 交流会で私の発言が議論されたのなら呼ばれたかったというのは偽らざる気持ちです。でもそれは、もう少し小さな規模の詰めた会議で議論しましょう。呼ばれたらボランティアで出て行きますので企画してください。
 それでは、御礼とお返事まで!