シンクロニックなマスターベーションする主体の存在論

「あなたが、オナニーする時、その当のあなたはいったい誰なのか?――レオ・ベルサーニの問い。
彼(=ベルサーニ)の答えは「幻想」であり、ジャック・デリダなら「想像なるもの」ということになる。
不在の召喚により、自分自身を苦しめる[ふりをする]もの。
バーバラ・ジョンソンによると、マスターベーションこそが、主体と客体のジレンマから解放?される「過激な疎外」。
マスターベーションとは、数少ない自己との対話?を生成する契機になる。自分自身を聴くという行為は、じつは極めて「自然」な行為なのだ。
確かに読むことは、視覚的行為で、時間の相においてはアナクロニスティックな行為だ(翻訳行為もまた)。それに比べると、聴くことはシンクロニックな行為ではある。