イデオロギー(ミニ辞典)

マルクスエンゲルスは、イデオロギーに軽蔑的な意味合いを付与した。なぜなら、彼らは、すべてのイデオロギー的思考を論理の不誠実な使用、支配階級の立場を正当化するために行われる意識的ないしは無意識的な事実の歪曲であると見なしたからである。イデオロギーとはエンゲルスの特筆すべき言葉によれば「虚偽意識」を意味する。虚偽意識は行動に根拠を与えるという主張は、……観念とイデオロギーある程度の自律を享受するという認識、すなわち、観念の経済的システムへの依存に関するマルクスの初期の所説とは両立しない認識を提起する」(Mustafa Rejai, イデオロギー, 『西洋思想大事典』1巻, p.133)。(→出典

・「[カール・]マンハイムのアプローチは、重要な点でマルクスのアプローチとは違っている。(マンハイムは)イデオロギーを全体的な社会構造、とくに政治党派の上に基礎づけた。……さらにマンハイムは、マルクスのアプローチは不当にも2つの異なったタイプのイデオロギーを混同している、と主張する」。つまり部分的イデオロギー概念と全体的イデオロギー的概念である。「部分的イデオロギー概念とは、「イデオロギーという言葉によって、たんに敵対者の特定の〈理念〉や特定の〈考え〉が信じられないという程度のことを意味する場合である」『イデオロギーユートピア』pp.55-56, 邦訳166頁)。これが部分的なのは、この批判が全体への批判に展開しないからだとマンハイムは主張する。他方「人は、ある時代のイデオロギー、ないし時代や社会によって具体的に規定されたある集団――例えば階級――のイデオロギーについて語ることができる。この場合には、イデオロギーという言葉によって、その時代なり集団なりの、全体としての意味構造の特徴や性格が考えられている」『イデオロギーユートピア』p.56, 邦訳166頁)(Mustafa Rejai, イデオロギー, 『西洋思想大事典』1巻, p.134)(→出典