現代人の自己成型について

七藝の他のトレイラーでも観たけど、ある意味でパーソナル・メディア生産の普及により、世界の地球市民のドキュメンタリーのレベルが半端ではない成長をしている(墓場のマクルーハンもびっくりだ!)。このことをガクジュツ的に検討するためには、ぜひ、グリーブラッド『ルネサンスの自己成型―モアからシェイクスピアまで』の冒頭の緒言を読んでいただきたい。バリ島の人たちが、自分のビデオをみながら舞踊や音楽が「客観的?」にどう見ることができて、それがバリの人たちの自己表象(としての舞踊)にフィードバックする、その記述を通して、ルネサンスにもメディアは異なるけど、自分をどのように「成型」してゆくのかについて書かれているからだ。どうです?――実践と理論は大学人が考えるように別々のものではない!

みすず書房、1992年