仁義なき査読

【仁義なき査読】
 ある配慮に欠ける査読者がまったく不当で酷い論難を書いてきたので、ディフェンスのお手紙を編集委員会に認めることにした。ちなみに別の査読者はオールAだった。通常は、論文の細部でいちゃもんをつければよく、投稿者はそれに対する改善やリプライをすればよかったのに、こともあろうにこの拙速な査読者は中範囲の総論で、僕の立論に文句をつけてきた。冷静によめば、その人は僕を論難したいという欲望が丸出しで、どうも冷静さを欠き論理的な文章になっていないので、面白いくらい、反論が可能なのだ(と僕は思う)。仁義なき査読においては、それを全面否定したり、却下したいのであれば(反論の余地のない)致命的なポイントを具体的に指摘してやり、それ以外は言葉すくなくすればよい。そうすれば、ディフェンスされにくいのに、この悪意のある馬鹿は、中途半端に細述している。それゆえに言葉の使い方や論理構成でつっこみどころが満載だった。反論はその査読者本人ではなく、最終的には編集委員会のお歴々に裁定してもらうわけだから、査読で相手をけなしても、最終的にどこにもってゆくという具体的な目標をもたずに、文句言って溜飲をさげると、逆に飼い犬(=投稿者)に手を噛まれることを想定しないとならない。査読のディフェンスに(論争で使うような形式的)仁義などはない。査読をめぐる争いは、もっと水準の違う、プラグマティックな争いなのだ〜♪