「シラバスがなかったことが原因」言説の分析

 元・教務委員長の垂水源之介です。
 本センターの授業が始まって、受講者が減少しているのではないかという実態が明らかになってきました。
 これに関しては、本センターだけの問題か、それとも高度副プログラムの増加による全体に受講者が分散しているのか、という分析をしてみないとなんとも言えません。
 また、受講者数の数が減ることについて悪い効果だけしかないという発想も考えものです。投入できる教員と指導できる内容とのバランスにおいて昨年度までは教員のオーバーワーク気味のものがあり、今期は適正レベルにまでなったという言い方も可能だからです。
 さらに、その原因が(単一原因なのか複合的なものなのか?、あるいはそれらの作働機構が解明されるまでは)「シラバスが原因」と単一の理由に還元するのもすくなくとも実証科学主義的な態度ではないと思います。(これから入手できるデータとしては、少なくともこれまでシラバスを配布していなかった学部受講生と現今の院生受講生の今年の構成比率で、このことをある程度推論することができますが……)
 我々の組織は、受講者数で給料の増減がある組織ではありません。大切なことはその原因を究明し、解明できた点と今後それがどのような改善に役立てることができるのかを冷静に見極めることが重要だと思います。
 そのための我々にとっての重要な情報源は、受講学生にほかなりません。是非、授業の合間に、受講パターンはどうだったのか、シラバスないしは授業案内に関わる情報が欲しいか等についての聞き取りを実施してくださるようお願いします(ただしあくまでもサンプリングのため過度の一般化は禁物)。
そして、もし仮にシラバスがなかったことが原因だとしても、その対策は来年まで待つ必要はないと思います。シラバスに変わる魅力的な授業案内を後期に授業の開始までに間に合わせて配布という対策が可能です。ご自身の分析をもとに本センターの教員が今何が改善に向けてできるかを提案してくだされば幸甚です。