米国の医療保険法案の成立から学ぶこと

 米国の医療保険法の可決について多くの日本人は海の向こうの無縁なことだと思っているでしょう?
 ところが日本にも国民健康保険を支払えない日本国籍の人や定住外国人[外国人も保険料を支払えば日本国民でなくても国保に加入できます]の人たちがいて[世界的にみて]質の高い公的医療を十分なサービスを受けられない不幸があります。
 米国の保険医療保険未加入率は13パーセントあまり。ただしそれは単に保険料を支払えられないという問題だけではなく、民間保険が発達した米国では持病があったり定職がないと保険への加入を認めないという門前払いという冷酷な事実がありますーー公的な保険ではなく民営化すればよいという議論が信用できないのはこういう無慈悲な事実が生じるからです。
 オバマ医療保険法は、制度的な失敗に終わった公的保険の再建というチャレンジですが、将来日本が同様な挑戦を強いられるという社会状況が起こるともかぎりません。あるいは、先に述べたように、現在でも公的医療保険を受けられない人をどのようにして、国家が用意するセーフティネットに復帰させるかという挑戦を、オバマ政権がどのようにおこなおうとしているのか、じつは正反対の情況である日本が学ぶことも多々あるのです。すくなくともさまざまな制度的枠組みが相当異なっている状況に米国がどのように対処しているのか、他山の石になることは間違いないと思います。