『ルカによる福音書』第7章第39節〜50節 の翻案

詩紋文左衛門(心の中で)〈うぬが予言者なら、うぬに触れる女(め)が、誰で、どのような所業者がわかるはずぢゃ。このスケは罪人ぢゃぞ〜〉
湯田屋翁(INRI)「詩紋 てめえに言いてぇことがある」
詩紋文左衛門「どうか 話しゃんせ〜」
湯田屋翁「ここに金貸しがおる。ひとりには五百両、もうひとりには五拾両貸した。[だが母親が死に追善のために棒引きにすることにした]そちは、この時に、どちらがこの慈悲深い金貸しに有り難がてぇとおもうかえ〜」
詩紋文左衛門「そりゃ棒引き額がでけぇほうでござんすよ〜」
湯田屋翁「アタリ前田のクラッカー」
※湯田屋翁は傍の女に向き、詩紋文左衛門に諭す。
湯田屋翁「このスケを見なっせ。儂がうぬの家に入った時、うぬは儂の足を洗う水をくれんかったが、このスケは涙で儂の足を濡らして、この黒髪で拭うてくれた。うぬは儂に挨拶の接吻をせぬが、このスケは儂の足に接吻したぞっ。お前は儂の頭に鬢付け油を付けてはくれぬが、このスケは儂の足に自分の髪の油をつけてくれた。この際言うて聞かすが、よおく聞け。このスケが背負ってきた罪が赦されたことは、儂に対してやってくれた愛の深さでわかる。[借金の棒引きのように]赦されることが少ない者は、愛することも少なかろ〜」
※湯田屋翁は傍の女に言う。
湯田屋翁「あんさんの罪は赦されましたでぇ〜〜♪」
同席者は思う〈罪まで赦すと[でかい]口をたたく、こやつは一体何者ぢゃ〜???〉
※湯田屋翁は傍の女にふたたび言う。
湯田屋翁「あんさんの信仰があんさんじしんを救いましたでぇ〜〜♪ 安心して行きなっせ〜」
ルカによる福音書』第7章第39節〜50節 の翻案なお[ ]内は補筆で原文にはないもの。

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※湯田屋翁役者に対する声援は「いよっ〜〜♪ 魚屋っ〜!!!」というのが正しい屋号呼称ですよ。(魚はキリストのシンボルなので→ http://bit.ly/cJtipr