フォースに栄えあれ!

後は誤字脱字をなくしてきちんとした体裁にするだけですよ、ご安心あれ

過日の原稿の読み合わせはご苦労様でした。
完全に体育会系の合宿のノリで、おいしい弁当を喰って同じ身体構成物を摂取し、現場の空気――エトス――を吸って、自己と仲間を同一化することのある比較的長めの儀礼だったような感じがします。というのは翌日の私は疲れることなく元気だったもん(逆に皆さんのエネルギーに憑かれた)。
というわけで、みなさんは筆力もあり、途上・未完を含めて博士論文の経験者であるために、論文作成についてはそれほど問題なしと思いました。ただし、博士論文のように長目で自由に書けるものとは違い、今後みなさんが編者や出版社などから依頼される論文という性格があることをご理解ください。つまり、辛辣な文句を言われても、できない・書けないというのではなく、とりあえず「ハイ!」と元気に言ってから、先方の言うことに従って書き直してみる。あるいは誤解されていると感じられたのであれば、誤解されないように(頭をクールダウンしてから)文章を精査する。これにつきると思います。
スペイン語に ensayo という言葉があります。ときどき若手の論文に使われることがあり、私は「試論」だと理解しています。
ネットの西英辞典をみてみますと、英語では rehearsal (まさに脚本を俳優の口から今一度聞く), test, essay, try とあります。つまり、エンサージョ(ensayo)においては、その論者は、これまでの世間の常識や定番の議論をずらしたり、突飛なことを言える可能性を与えてくれる場です。その場合は、ネガティブ・インスタンスを通して既存のパラダイムを改良するよりも、ポジティブな証拠を提示して、新しい理解・解釈の可能性を拓くというところがあることが許される空間だとお思いになさってください。
今回の改訂を通して、これまで以上に、読者をうーんと唸らせたり、議論することが楽しい論文に仕上げてください。そういう意味合いの読み合わせ会であったように思います。最後に頼れるのはご自身です。
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