オーディコロンと記憶

古いオーディコロンをとり出して、手の甲につけて匂いをかぐ
なつかしい記憶が甦る
亡くなってしまった忘却の彼方の人が、私の前にあらわれる
彼女は私を苦しめず、私は彼女を苦しめない
ミルク(弥勒)の彼方から君はやってきて私を甘い香りに包む
だから恋が亡くなっても、思い出の品は捨てないように……
忘却の彼方からやってくるものは、決して君を苦しめないし、私も苦しめない
すべては甘い思い出のなかに鮮やかに甦る
まぼろしでも、亡霊でもいい
もうしばらく甘い香りのなかにいて……