カネミ油症被害者への踏んだり蹴ったり

コーラベイビー―あるカネミ油症患者の半生

コーラベイビー―あるカネミ油症患者の半生

要するにカネミ油症事件とは、被害者への踏んだり蹴ったりという一言に尽きる。読売新聞のネットニュースは、この事件の論評解説なしだったで、被害者への仮払い金の返還免除が、予備知識のない人にどのような意味をもつのかほとんどわからない報道になっている。それにくらべると以下の産経の報道は、被害者は踏んだり蹴ったりなのだという「事実」のニュアンスが充分には伝わっていないが、臨床データ提供者には(謝罪やその後の政策などで応えるという国民に対する礼儀正しい国家の矜持ある行動は一切亡く)金品を出そうという姑息な思惑と行為をきちんと報道している点で及第点である。読売の記事(www.yomiuri.co.jp/politics/news/20060412i201.htm?from=main2)の作者はこの産経の記事を読み大いに反省し、恥をかくべきである。「仮払金17億円の返還免除 カネミ油症で救済策/福岡や長崎を中心に西日本一帯で発生した食品公害のカネミ油症事件で、自民、公明両党は12日、国が患者側に返還を請求している仮払金約17億円について、患者救済のため、全額を免除する立法措置を検討することを決めた。近く両党の作業チームをプロジェクトチームに格上げし、農林水産、厚生労働、環境各省と具体的な免除方法を協議する。/カネミ油症事件は1968年に発生。賠償請求訴訟は一審で国が敗訴したため患者に約27億円を支払った。しかし最高裁で患者側の逆転敗訴の可能性が高まったことから、被告企業との和解が成立。国に対しては訴えを取り下げ、国は既に支払っていた分の返還を請求した。一部は返還に応じたが、約17億円が未返還で、患者にとっては大きな負担となっていた。/与党では、返還免除とは別に、油症の原因であるダイオキシン類などで健康被害を受けた人の実態把握を国に義務付け、自らの症状を研究データとして提供した患者に、「協力金」を支払う救済策も検討している。/カネミ油症事件は発生当初、約1万4000人が被害を届け出たとされるが、認定患者は約1900人にとどまった」(出典『産経新聞』:www.sankei.co.jp/news/060412/sei070.htm)。