真珠ゲノムの〈科学人種主義〉

科学的隠喩の中における人種主義を「発見」したのでご紹介しましょう!この〈科学人種主義〉は、いくつかの論理的前提からなっています。
(1)感染症で大打撃を受けたのが、養殖の過程で生じる遺伝的タイプの〈純化〉であり、このことに対する防疫や対策についての配慮がなかった歴史的背景を無視している。
(2)「真珠の品質は劣るが病気に強い中国産」の導入による、「品質」の劣化のせいにされており、これが〈純国産のゲノム解読〉の強い動機になっている(=遺伝子の国産化、あるいは国産認定化)。
(3)中国産の「病気に強い」ということの意義を捨象している。
(4)修辞のタイプからみると、反ユダヤ主義を正当化するナチスの科学言説と、極めて強い類似性をもつ。
参考文献
のらくろ帝国主義入門
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【リード】アコヤガイのゲノム解読=国産保護、真珠の品質向上も―沖縄科技大・ミキモトなど_時事通信 2月8日(水)18時1分配信
 世界で最も美しい真珠を生み出す国産アコヤガイの全遺伝情報(ゲノム)を解読したと、沖縄科学技術大学院大や真珠養殖大手ミキモト、東京大などの研究チームが8日発表した。養殖の国産アコヤガイは1990年代後半に感染症で大打撃を受けたため、真珠の品質は劣るが病気に強い中国産が輸入され交雑が進んでいる。ゲノム解読は国産アコヤガイを識別して守り、真珠の品質を維持、向上させるのに役立つと期待される。
 アコヤガイのDNAは約11億塩基対でヒトの約3分の1あり、遺伝子は約2万3300個特定された。解読データは沖縄科技大のデータベースで公開され、論文が英科学誌DNAリサーチ電子版に発表された。軟体動物ではタコなどのゲノム解読が進められているが、解読成果の論文発表は世界で初めて。 
◎出典:headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120208-00000098-jij-soci